菅代表代行、民主党みやぎ政治スクール開校式で講演

2006年4月15日

菅直人代表代行は15日午後、宮城県を訪れ、この日行われた民主党みやぎ政治スクール開校式で講演を行った。菅代表代行はこの中で、民主党新執行部のスタートについて説明したほか、政権交代可能な二大政党の一翼を担う民主党の果たすべき役割などを分かりやすく語りかけた。

冒頭、党宮城県総支部連合会代表の岡崎トミ子参議院議員が挨拶し、景気回復という政府・与党のかけ声とは裏腹に、地方ではそういった実感が全くないと述べ、民主党としても新しい気持ちで信頼回復に取り組むとの決意を改めて披露。日本の政治を足下から変えていくために、地域社会の中でがんばっていこうという受講生の皆さんの決意を賞賛した。

続いて受講生の紹介が行われ、これを受けて菅代表代行が記念講演を行った。菅代表代行は、この間の「メール」問題から代表選挙に至った経緯を説明し、小沢一郎代表の下、新執行部が誕生して、「挙党態勢が一挙に固まったと同時に、前に向かう力が本格的に出てきた」と指摘。「新しい民主党に、是非期待を寄せていただきたい」と呼びかけた。

そして、「国会の場でも、いよいよ本格的な、これからの日本をどうするかという大きな次元での論争が再開されている」とし、政権交代可能な政党として民主党が果たすべき役割を、55年体制以降の歴史を振り返って説明。「国民の皆さんから預かった税金を、本当に国民の皆さんのために使うという当たり前のこと」ができる政治をめざすとして、その決意を改めて示した。

その上で菅代表代行は、「税金のムダづかいの構造を根本的に改める行財政改革」の重要性を強調し、一方で自民党政権の下、政官業の癒着構造は全く無くなっていないと強調。改革の旗を奪ったように見える小泉政権だが、5年間で「本来の意味の改革は、何一つ、全く進んでいない」と厳しく指摘した。菅代表代行は更に、官製談合の弊害を具体例を引きながら分かりやすく説明し、莫大な財政赤字を産んだ「最大と言っていい問題」だとした。

そして、菅代表代行は、やみくもな規制緩和による「格差が拡大し二極化した社会」が出現しつつあることに強い懸念を表明。弱肉強食だけの社会ではない、もう一つのあり方を示す必要があるとして、幸せと政治の役割について言及。全ての人が満足する幸せを実現しようとすると自己矛盾に陥るとして、人々の不幸を、できるだけ小さくすることが政治の仕事ではないか、などと持論を展開した。そして、人の命を奪うこともあるような権力を何に使わなければならないか、政治に携わる者は真剣に考えなければならない、などと語りかけた。

また、読売新聞が戦争責任の問題を検証していることに注目していると菅代表代行は述べ、間違った戦争によって、多くの日本人、多くの他の国の人々が亡くなったにも関わらず、責任の所在が曖昧なままであったことに、現代の社会のけじめのなさのスタートがあるのではないかという問題意識を明らかにした。そして、祖国愛と愛国心の違いについての議論を紹介しつつ、ナショナリズムの高揚に関しても、政治に携わる者の立場からは、ある意味で冷静に考える必要があるなどと指摘した。

これからのテロや地域紛争に関しても菅代表代行は言及し、国がサポートすることは必要だが、場面によっては色々な民間の活動が国には発揮できない役割を果たすこともあると指摘した。

最後に菅代表代行は民主党の現状について、若くて優秀な人材が集まっているが、社会の矛盾や様々な問題を変えたいから政治家になりたい、という部分がやや見えないところがあるのが少し残念だと述べ、様々な人々が持つ思いが一緒になり、政策になっていくのが本来の姿ではないかとして、運動論と政策論が両輪にならなければならないと、自らの反省も含めて率直に言及した。そして、地域の中で色々な問題に取り組んでいくには、「女性の皆さんの積極的な参加が大きな力になる」とし、老壮青一体となった取り組みの重要性も強調。受講生の皆さんにも、是非がんばっていただきたいと改めて激励し、講演を締めくくった。